心理学を学べば「相手が何を考えているのか手に取るようにわかる」「相手の嘘を見抜けるようになる」といったことを考える人も少なくないのではないでしょうか。
はっきり言って、そんなことはありません。心理学というのは、そのような学問ではないのです。
今回は、心理学初心者の方でもわかるように、心理学の基礎中の基礎や、誰もが日常で使える心理学のテクニックを紹介していくので、ぜひ日々の生活に役立てください。
心理学とメンタリズムの違い
日本人が心理学と聞いてまず最初に思い浮かべるのは、おそらくメンタリストのDaiGoさんではないでしょうか。
確かにテレビなどで見るDaiGoさんは、相手の嘘を見抜いたり、言葉巧みに思い通りに相手を誘導したりしています。
でもこれは、人並外れた観察眼やパフォーマンス能力があってなせる技です。素人が一朝一夕で出来るものではありません。
そもそも、心理学とメンタリズムは同じ線上であっても同じ点ではなく、まったくの別物と考えてください。
ただ、DaiGoさんのパフォーマンスが心理学を応用していることは事実です。
DaiGoさんみたいになるとは言わずとも、心理学を学べば相手の考えていることが何となくわかってきたり、良好な人間関係を築いていくことができるようになってきます。
心理学って何?
心理学は英語で「サイコロジー(Psychology))」、つまり「サイコ(心)」の「ロジー(科学)」という意味になります。
上記のように、心理学というのは様々な研究結果をもとに「人間とはどのような仕組みで出来ているのか?」を追求して、研究者たちが日々、人間の心と行動の科学を研究し色々な形で発表してきました。
心理学の勉強をして知識を増やすことで、人の気持ちや行動を正しく理解することができたり、自分自身の感情や行動のコントロールをして、コミュニケーション能力を飛躍的に高めることができるのです。
心理学の3大巨頭
心理学を学ぶうえで欠かせないのが「心理学の3大巨頭」です。
心理学をあまり詳しく知らない方でも、フロイト・ユング・アドラーの名前ぐらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。
同じ時代を生きたこの3人の思想は、現在の心理学の世界にも多大なる影響を及ぼしています。
フロイト
フロイトといえば「無意識」の理論です。
人というのは、意識していない無意識の部分が、行動や発言をするメカニズムになっているとフロイトは唱えました。
例えば、今自分が小さい子どもの面倒を見ているシーンを想像してみてください。
元気な子どもが大はしゃぎで走り回っています。ところが、あなたの目の前で子どもが転びそうになりました。その時、あなたは次のどちらのような行動をとりますか?
ほとんどの人が②のような行動をとるはずです。
このようにフロイトは、人間は無意識による意思決定を行っていると提唱しました。
ユング
ユングは元々フロイトの弟子でしたが、次第にフロイトの学説に疑問を持つようになります。そして、フロイトとは違う研究をして唱えたのが「タイプ論」です。
まず、ユングは人間のタイプを「内向型」と「外向型」の2つに分けました。
内向型は自分の内面に関心が向くタイプで、自分にダメ出しをしたり我慢強かったりする傾向にあります。
対して外向型は、外部に対して関心を持つタイプで、社交的であったり他者に対して影響を及ぼしたいと考える傾向があります。
勘違いされやすいのですが、内向型の人は暗い性格で外向型の人は明るい性格だというわけではありません。
他者と接するのが苦手で疲れやすい人は内向型、人と関わることが楽しいと思うのなら外向型と言えるでしょう。
さらにユングは、人の心のあり方は4つに分類されることを唱えました。
そして、大分類(内向型か外向型か)と小分類(思考・感情・感覚・直観)を組み合わせて、人間のタイプは8パターンに分けることができると提唱したのです。
アドラー
アドラーもユングと並んでフロイトの弟子と呼ばれたりしますが、実際は「対等な研究者」の関係性だったらしいです。
おそらく、日本で一番有名な心理学が彼の提唱したアドラー心理学でしょう。ベストセラーにもなった「嫌われる勇気」もこのアドラー心理学が元になっています。
アドラーは「人間の悩みはすべて人間関係からくるもの」だと唱えました。そして、その問題を解決するためには、承認欲求を捨てなければならないとアドラーは言います。
この考えは現代社会の、特に日本人の考え方に通ずるものが多いので、たくさんの日本人に支持されているのでしょう。
心理学の種類
心理学は大きく分けて「基礎心理学」と「応用心理学」の2つにカテゴライズされて、その中からさらに細かく分類されます。
基礎心理学
基礎心理学は、人間の心の根底にある心理のメカニズムなどを解明していく心理学です。
応用心理学
応用心理学はスポーツや犯罪など、より具体的に追求・研究したものになります。
心理学は日常のさまざまなシーンで使える
ここからは、恋愛・仕事・人間関係の日常で使える心理学の例を紹介していきます。
この3つは人間の多くが抱える悩みの代表的なカテゴリだと思うので、ぜひ参考にしてみてください。
恋愛
幸せな恋愛を長続きさせるには、感情の安定(自己コントロール)が男女共に大切です。
自分自身がポジティブで気分の良い時には自然と相手に良いイメージを与えているので問題ないのですが、ネガティブで嫌な気分になっている時にどれだけ自己コントロールをし、その感情とどう付き合うかがポイントになってきます。
物事をネガティブに捉えたり感じたりすることは、決して悪いことではありません。
ネガティブな感情を抱いている自分を責めずに、まずはその自分自身の気持ちを受け入れることから始めましょう。
恋愛でうまくいかない時も、無理矢理ポジティブな方向へ考えていくことはハッキリ言って逆効果です。
ネガティブに感じたことを素直に受け止めて消化していく方が、自己コントロール能力は高まります。
「恋は盲目」と言いますが、熱い恋愛をしている時こそ感情を安定させて、冷静に自己をコントロールしていきましょう。
恋愛で使える心理学テクニックの詳細は下記をご覧ください。
⇒恋愛心理学を使って恋愛マスターに!さまざまな場面で使えるテクニックを紹介
仕事
人間には「人に言われて動くのは絶対に嫌だ」という心理があります。
「〇〇をお願いします」「〇〇して下さい」という言い方は、一見へり下ってお願いしているように感じますが、これでは相手のモチベーションは上がりません。
もっとも効率的なのは、最終的にお願いしたい内容がなされるよう、大雑把な説明をして、ある程度は任せること。
決して無理強いをしてはいけません。その方が、相手も気持ちよくその仕事に取り組んで結果を出してくれやすいのです。
人が考えていることは行動で分かります。やってほしい仕事などは「これをやって欲しい!」と言うだけではなく、まずは自分が実践し、背中で見せることが大切です。
仕事やビジネスの場で使える心理学テクニックの詳細は下記をご覧ください。
⇒仕事のモチベーションを高めるには?心理学からその方法を紐解く!
人間関係
自分の人間関係を良好にすることで、お金・健康・幸せを手に入れることができると言われています。そのためには、自分で付き合うべき人や環境を考えて選んでいくことが大切です。
仕事でもプライベートでも、人と付き合っていくには自分の労力と時間を費やします。
そして、その時間と労力を費やしてまでも付き合いたいと思える人とだけ繋がっていければ問題ありません。
自分の感情を押し殺さなくても良い付き合いができる人間関係を作っていくことが大切で、職場選びや友人関係など、自分の身近にどのような人たちを置くかで、自分の人生の生産性が上がるか下がるかが決まってきます。
嫌な人間関係は今すぐ消滅させましょう。自分の素直な感情を言える相手を選び、周りの環境を整えていくことで、より良い人間関係を自然と作っていくことができるのです。
人間関係で使える心理学テクニックの詳細は下記をご覧ください。
⇒心理学を使ってコミュニケーション上手に!相手の心理を読み動かすには?
心理学は覚えておいて損はない!
心理学は覚えておいて絶対に損はありません。
とはいえ、大学に通わずに1から勉強するのも少し敷居が高いと思う方も多いでしょう。
でもこの時代、学ぼうと思えばそこらじゅうに答えが落ちています。
ネットで学ぶもよし、本を読んで勉強するのもよし、YouTubeで学習することだってできます。
最近は漫画で心理学を簡単に説明してくれる本もありますから、心理学に少しでも興味がある方は、その辺から触れてみてはいかがでしょうか。